甲府一高創立130周年記念式典

跡部校長(S44卒)の式辞

 街路樹の葉も日ごとに彩りを増し、梢を揺らす色なき風に、学問、芸術、スポーツへの志あらたに湧き出ずる季節となりました。本日、甲府第一高等学校創立130周年記念式典が、山梨県知事横内正明様を始めとする多くの御来賓、保護者の皆様、同窓生の皆様の御臨席を賜り、このように盛大に開催できますことを心より感謝申し上げます。

 さて、本校の源を辿りますと、遠く江戸は寛政年間、幕府甲府勤番士の師弟のための私塾「甲府学問所」まで遡ります。その後、「徽典館」、「江戸昌平坂学問所分校」、「開智学校」等の時代を経て、1880年(明治13年)10月、時の藤村紫朗県令の御尽力により「山梨県中学校」が創設されました。同月23日に開校式典が挙行され、その日を本校創立の記念日とし、爾来130年の時を刻み続けております。

 その間、卒業生は3万4千有余名を数え、学術、政治・経済、芸術、スポーツ等、広範にわたる分野に、有為な人材をあまた輩出しております。

 大正13年に始められた本校最大の学校行事である強行遠足は、今年で84回を数え、信州佐久地方の秋の風物詩として親しまれるとともに、夜を徹して長野県まで歩く稀有で貴重な体験は、生徒の心身に深く刻み込まれ、卒業生の一生を通じての心の拠りどころとなっています。また、強行遠足を通じて、北海道東部の名門北見北斗高校と、平成4年より交流が始まり、現在も生徒を派遣し合い、お互い良い刺激を受け、高めあっております。

 本校の、三つの校是「Boy's be ambitious!」「日に新た、日に日に新た、又日に新た」そして「天地の化育を賛く」のもと、全県から俊英が集まり刺激しあう中で生まれた、自由でアカデミックな校風は、学者や官僚、政治家、作家、芸術家、漫画家、女優、プロスポーツ選手等、多種多様な才能を大海のごとく育み、生徒は、百千の既知あるいは未知の価値観が入り乱れる中から人それぞれの生き方、人と自分との相違を実感し、アイデンティティを確立してきました。本校卒業生の特徴である「徒党を組まず、群衆の中にあっても孤高を保てる人間」を育む伝統は今も脈々と生き続けています。

 さて、本校は、総合選抜制度の前後を通じ、また近年では、平成3年英語科設置、平成12年にはアメリカ・フーバー高校との姉妹校締結、平成16年スーパー・イングリッシュ・ランゲージ・ハイスクール指定、平成17年オーストラリア・ヘンリー高校との姉妹校締結、平成20年度には山梨大学教職大学院連携協力校締結と、長年にわたり県内の高校教育の発展及び国際教育の振興に尽くしてまいりました。

 今、我が国および世界の抱える諸問題を見渡したとき、日本という国の、足元の覚束なさを感じており、日本及び日本人としてのアイデンティティ確立が急務であると考えております。今、社会に関心を持ち、社会の諸問題及びこの国をどうするのか、またどうあるべきか、について自分の考えをしっかりと持ち、行動できる人間が必要とされています。

 現在、本校は、「文化の香りのする懐の深い進学校」を合言葉に、「学力向上事業F21」の立ち上げ・推進とともに、文化、芸術、スポーツ活動の奨励、強行遠足を始めとする学校行事の実施、外国の姉妹校との交流や海外研修、130周年記念事業の一つであり、生徒の創造的活動を支援する「日新基金」の効果的活用、様々な分野の第一線で活躍する卒業生を招いてのキャリア教育の推進等に積極的に取り組んでおり、これらの教育活動をとおして、確かな学力を確立し、豊かな人間性や創造力、国際感覚、社会性及び柔軟性に富んだ強い精神力を育んでおります。

 甲府第一高校は、今後も、本県を代表する高校として、学校教育の充実、家庭・地域との連携、文化・スポーツ振興等の教育課題についてフラッグシップの役割を果たすとともに、地域、国家、世界のために役立つ人材の育成に力を注いでいく所存でおります。

 皆様におかれましては、本校の教育活動に対し、今後とも変わらぬ御支援御協力をお願い申し上げます。

 おわりに、本日ご臨席の皆様、記念事業を実施して頂いた同窓会の皆様及び御協力頂いた皆様方に深く感謝申し上げるとともに、皆様の御多幸と御健勝を祈念して式辞といたします。

 平成22年10月22日
 山梨県立甲府第一高等学校
 校長 跡部 和

 ※写真は当時の甲府一高HPより借用


[参考] 当時の甲府一高同窓会HPより

創立130周年記念式典が下記の日程で盛大に開催されました。
準備期間2年間 皆様のご協力により無事に記念式典、祝賀会を開催することができました。ありがとうございます。
後日 開催された模様を写真にて紹介いたします。

平成22年10月22日(金)
記念式典 13時より山梨県民文化ホール大ホール
記念演奏会 14時30分より山梨県民文化ホール大ホール
記念祝賀会 アピオ甲府に場所を移し 17時より

同窓会員は、募金協力者のみご招待となっております。
祝賀会は 別途参加費5000円 当日会場にて頂きます。

ご招待状は以下の方々に発送しております。
学校、PTA、在校生、同窓会員(募金協力者 約2300名)